事故事例の詳細
事故概要
子供(当時5才)が母とともに訪れた建物の1階から地下1階へ通じる下降専用エスカレーターに乗っていたところ、履いていたゴム長靴の右足先端がステップの間に巻き込まれ、負傷した。
この事故の事故パターン
|
事故のきっかけ |
事故の過程 |
詳細と留意点 |
1 |
|
踏み段と周囲のすきまに、履物、靴ひも、指、衣類、マフラーなどを巻き込まれ、身体に危害が加わる |
巻き込まれ |
|
事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
その他 |
場所 |
その他場所 |
建築部位 |
エスカレーター |
障害程度 |
重度のケガ |
|
|
判例の詳細
- 責任の所在
- エスカレーターの保存に瑕疵があるとされ、管理者に民法717条1項の責任が肯定された。
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵あり。
・エスカレーターは、ゴム長靴やビニール靴により乗降した際、ステツプの垂直面(ライザー)に触れると、引きずり込まれる危険性が高いことから、ゴム長靴等による乗降の危険性を呼びかけるポスターを作成、広報活動をし、ライザー部分に溝をつけたり、潤滑油を塗布し、ステツプとステツプ間およびステツプと手すり下との間のすき間を注意を呼びかけるため黄色の線で塗る等の措置をとることが通常である。
・本件ではその乗り口わきの手すり下のスカート部分に、母と子が子を中央に位置させ同一ステツプに乗り、母が手を手すりにかけているイラストに「手は手すりに、お子様は中に」との標語記載のワツペンを貼り、降り口に黄色を塗り、そのスカート部分に、子供が足をあげているイラストに標語を記載したワツペンが貼られていたのみで、潤滑油や、注意を呼びかける黄色の線、ゴム長靴等の危険を知らせるポスターや放送等の措置を一切講じていなかつた。
- 過失相殺
- 過失割合5割
母親は、満5歳の幼児の監督者として、その幼児が本件エスカレーターで昇降する場合、同じステツプに乗せて手をつなぎ、その足もとに注意を払い、ステツプとステツプの間のすき間に足を挟むことなきよう十分な注意を払うべき義務がある
- 損害賠償の範囲
- エスカレーターに五歳の幼児が足を挟まれ受傷したのは、母親の行動が事故発生の一因となつているのは明らかであるが、幼児において、本件事故に際し、通常の利用方法と異なり、殊更事故発生の原因となる乗り方をしていたとまではいうことができず、エスカレーターを安全運転するため本来備うべき設備・配慮を欠いていたという瑕疵と相当因果関係がある。
判例の解説
事件番号・判例時報 |
昭和55年ワ1048
1042号115頁 |
裁判年月日 |
昭和56年10月28日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
東京地裁 |
判示 |
一部容認 一部棄却 |
|
原審事件番号 |
|
原審裁判所名 |
|
原審結果 |
|
被害者 |
利用客(5歳) |
天候等の状況 |
|
|
ID:1218[mid:39]