事故事例の詳細
事故概要
本件は,スーパーマーケット(店舗)の利用客が,店舗内で転倒して負傷したとして、店舗経営者に対し,安全配慮義務違反を理由とし、または本件店舗で清掃業務に従事していた清掃員の過失を理由として、不法行為及び使用者責任に基づき損害賠償を請求した事案である。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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その他・詳細不明 |
その他・詳細不明 |
転倒(床の上で転ぶこと) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
店舗・娯楽施設等 |
場所 |
その他室内 |
建築部位 |
平坦な床 |
障害程度 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 瑕疵・過失の有無
- 過失あり
・本件店舗は、不特定多数の顧客に対し陳列された商品を販売するスーパーマーケットであるから,不特定多数の者が様々な履物を履いて本件店舗を訪れることを前提に,その安全を図るべき安全配慮義務があること
・清掃員に速やかに乾拭きを行うなどして床面の水分をふき取らせたりするなどの措置を講じなかったこと
- 過失相殺
- 過失相殺 2割
・本件事故の現場付近の床面が濡れていることは認識し得たにもかかわらず、特に足元に留意することなく歩行していたこと
判例の解説
- 事案の概要
- スーパーマーケット(以下「本件店舗」という。)の利用客が,本件店舗内で転倒して負傷した(以下「本件事故」という。)ことから、店舗経営者である被告に対し,安全配慮義務違反を理由とし、または本件店舗で清掃業務に従事していた清掃員の過失を理由として、不法行為及び使用者責任に基づき、損害賠償を請求した事案である。
- 裁判所の判断
- 1 被告である店舗経営者は,本件店舗において,訪れた不特定多数の顧客に対し陳列された商品を販売するスーパーマーケットを営んでいるのであるから,不特定多数の者が様々な履物を履いて本件店舗を訪れることを前提に,その安全を図るべき安全配慮義務があるというべきである。
2 床面の滑り抵抗が突然変化すると滑ったりつまずいたりする危険が大きいこと,本件事故の現場に用いられていた本件床材は水に濡れるとC.S.R値が相応に小さくなる(滑りやすくなる)素材であったことを踏まえれば,店舗経営者としては,清掃員に速やかに乾拭きを行うなどして床面の水分をふき取らせたり,周囲の顧客に床面が濡れていることを伝えて近寄らないようにするなどの措置を講じるべき義務を負っていたところ,本件事故当時これらの措置を講じなかったのであるから,被告である店舗経営者には過失があるというべきである。
3 一方、本件事故の直前,本件店舗の清掃員が原告の進行方向先でモップを持って床面の清掃を行っていたことから,原告も本件事故の現場付近の床面が濡れていることは認識し得たというべきであるところ,原告は,特に足元に留意することなく歩行していたのであるから,原告の過失割合は2割と認めるのが相当である。
- 本判決のポイント
- 店舗の利用客の属性等を踏まえて安全配慮義務の内容を把握したうえで、清掃員への対応や利用客への注意喚起等がなかったことを過失と評価し、店舗経営者の責任が認められていることに留意する必要がある。
事件番号・判例時報 |
令和2年(ワ)第2139号 |
裁判年月日 |
2021/12/10 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
京都地方裁判所判決 |
判示 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
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天候等の状況 |
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ID:2080[mid:]