事故事例の詳細

事故概要

本件は,店舗の来店者が、店舗内の販売・宣伝用の掃除機が載せられていた台に足を取られ,転倒して負傷した事故につき、接触すると動いて足を取られて転倒する危険のある台に掃除機を載せて陳列展示し,台の存在等について注意喚起等を行わなかったことは、店舗経営者の顧客の安全に配慮すべき注意義務に違反した過失があるとして、店舗経営者に対し不法行為に基づき損害賠償を請求した事案である。 



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事故概要詳細

情報ソース 裁判判例 
建物用途 店舗・娯楽施設等  
場所 その他室内  
建築部位 平坦な床  
障害程度   
事故にあった方 年齢 40代後半 
性別 女性 

判例の詳細

責任の所在
瑕疵・過失の有無
安全配慮義務違反あり
・顧客としては陳列棚の物品の方に目が行きやすいこと(事故現場の状況等に十分な注意が向きにくいこと)
・事故現場の通路付近は十分な広さが確保されていないこと
・掃除機が載っていた台は滑りやすい素材でできており,上のカーペット部分がはみでていて足が引っかかる危険があること
過失相殺
5割
・被害者は、本件事故当時,本件通路の十分な広さが確保されていない場所に本件掃除機が置いてあることを認識していたこと
・本件台は格別視認が困難ではなかったにもかかわらず,足下を十分に注意することなく進んだものと認められること

判例の解説

事案の概要
店舗の来店者が、店舗内の通路(以下「本件通路」という。)を歩行中、販売・宣伝用の掃除機(以下「本件掃除機」という。)が載せられていた台(以下「本件台」という。)に足を取られ,転倒して負傷した事故(以下「本件事故」という。)につき、接触すると動いて足を取られて転倒する危険のある台に本件掃除機を載せて陳列展示し,台の存在等について注意喚起等を行わなかったことは、店舗経営者の顧客の安全に配慮すべき注意義務に違反した過失があるとして、不法行為に基づく損害賠償を請求した事案である。
裁判所の判断
1 本件事故当時、顧客としては本件通路を通る際には陳列棚の物品の方に目が行きやすいこと,本件通路付近の広さは53cmで十分な広さが確保されていないこと,本件台は滑りやすい素材でできており,上のカーペット部分がはみでていて足が引っかかる危険があったことなどを考慮すると,店舗経営者は,本件台に載った本件掃除機を陳列展示の定位置から移動する際に一時的に置く場合であっても,顧客が本件台に接触等しないような場所に置いて顧客の身体の安全に配慮すべき義務があるにもかかわらず、これを怠ったということができる。

2 ただし被害者である原告は,本件事故当時,本件通路の十分な広さが確保されていない場所に本件掃除機が置いてあることを認識しており,本件台についても格別視認が困難ではなかったにもかかわらず,足下を十分に注意することなく進んだものと認められること、本件事故の態様,本件台の設置状況等を総合的に考慮すれば、原告の過失割合は5割と認めるのが相当である。
本判決のポイント
一時的に商品を通路等に置く場合であっても、店舗経営者には、顧客が接触等により転倒することがないよう顧客の安全に配慮すべき義務があるとされていることに留意する必要がある。
事件番号・判例時報 平成31年(ワ)第81号 
裁判年月日 2020/11/13 
事件名 損害賠償請求事件 
裁判所名・部 東京地方裁判所判決 
判示  
原審事件番号  
原審裁判所名  
原審結果  
被害者  
天候等の状況  
ID:2084[mid:]