事故事例の詳細
事故概要
道路上を歩行中の通行人が、折から通りかかった自動車をさけるため道路脇の積雪の上に登った際、建物屋根上から長さ約九メートル、幅約七〇センチメートル、厚さ約一五センチメートルの氷盤が同人の頭上に落下したことによって死亡した。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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降雪・結氷 |
雪・氷などが落ちる |
落下物にあたる |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
その他 |
場所 |
外構・アプローチ |
建築部位 |
その他 |
障害程度 |
死亡 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 建物所有者
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵有り
ア 事故当時暖気等の影響で氷盤が屋根から落下した場合にはそれが右道路脇の積雪上に落下していくような位置関係にあったこと、
イ 道路両脇に除雪された雪が積み上げられているため有効幅員は狭く約四・七メートルほどしかないのに、車の通行が多く、通過する自動車の跳ねあげる泥を避けるために右積雪の上を通行しようとする者のあることが一層強い蓋然性をもって予想されるような状況にあったこと、
ウ 他方本件建物の道路側の屋根には廂から約五〇センチメートルのところに丸太を用いた雪止め装置が施されていたものの、その雪止めよりさらに廂よりに付着してい
る氷盤の落下を防止するための設備等はないこと
エ 落下した氷盤から通行人を保護するため例えば氷盤の落下する付近一帯に通行人が立入ることのないよう何らかの方策を構ずるといった配慮はなされていなかったこと
から、本件建物の保存については「その屋根に付着した氷盤の落下による危害から通行人を保護するに足りる適切な設備が構ぜられていない」という瑕疵がある。
判例の解説
- 事案の概要
- 道路上を歩行中の通行人が、折から通りかかった自動車をさけるため道路脇の積雪の上に登った際、建物屋根上から長さ約九メートル、幅約七〇センチメートル、厚さ約一五センチメートルの氷盤が同人の頭上に落下したことによって死亡した。被害者遺族が建物所有者に対し、工作物責任に基づく損害賠償を求めた事案である。
- 裁判所の判断
- 裁判所の判断
① 裁判所は、
ア 事故当時暖気等の影響で氷盤が屋根から落下した場合にはそれが右道路脇の積雪上に落下していくような位置関係にあったこと、
イ 道路両脇に除雪された雪が積み上げられているため有効幅員は狭く約四・七メートルほどしかないのに、車の通行が多く、通過する自動車の跳ねあげる泥を避けるために右積雪の上を通行しようとする者のあることが一層強い蓋然性をもって予想されるような状況にあったこと、
ウ 他方本件建物の道路側の屋根には廂から約五〇センチメートルのところに丸太を用いた雪止め装置が施されていたものの、その雪止めよりさらに廂よりに付着してい
る氷盤の落下を防止するための設備等はないこと
エ 落下した氷盤から通行人を保護するため例えば氷盤の落下する付近一帯に通行人が立入ることのないよう何らかの方策を構ずるといった配慮はなされていなかったこと
から、本件建物の保存については「その屋根に付着した氷盤の落下による危害から通行
人を保護するに足りる適切な設備が構ぜられていない」という瑕疵があると判断した。
② その上で、上記瑕疵と損害との間に因果関係があることから、建物所有者は被害者に対し損害賠償請求を認めた。
事件番号・判例時報 |
昭和48年(ワ)3
736号88頁 |
裁判年月日 |
昭和48年11月15日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
旭川地裁稚内支部 |
判示 |
一部認容
一部棄却 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
通行人 |
天候等の状況 |
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ID:176[mid:20]