事故事例の詳細

事故概要

入院患者が、病院内で廊下を歩行中、子供が同病院廊下の壁に沿って設置されていた防火扉の取っ手に触れたことから、同扉が閉じ始め、接触し転倒して負傷した。 



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事故概要詳細

情報ソース 裁判判例 
建物用途 病院  
場所 廊下・ホール  
建築部位 ドア・シャッター  
障害程度 重度のケガ  
事故にあった方 年齢  
性別  

判例の詳細

責任の所在
建物所有者・占有者(病院経営者)
瑕疵・過失の有無
瑕疵あり

健常者や一般の若年者であれば、本件防火扉を自力で押さえたり、これを避けることによって、容易に衝突を回避することができたが、

本件事故現場は病院であり、被害者(本件事故当時満七一歳)のような高齢の女性を含む、高齢者や身体に疾患を有する者が多数往来しているような病院等の施設の占有者には、右のような事故を回避するため、一般の住宅や一般公衆の出入りする通常の施設の占有者とは違った、利用者の安全へのより高度の注意義務が課せられているというべきであるとし、防火扉の設置保存に瑕疵がある。

判例の解説

事案の概要
入院患者が、病院内で廊下を歩行中、子供が同病院廊下の壁に沿って設置されていた防火扉の取っ手に触れたことから、同扉が閉じ始め、接触し転倒して負傷した。被害者が、病院経営者に対し、工作物責任に基づき損害賠償を請求した事案である。
裁判所の判断
裁判所は、

① 健常者や一般の若年者であれば、本件防火扉を自力で押さえたり、これを避けることによって、容易に衝突を回避することができたと認定したが、

本件事故現場は病院であり、被害者(本件事故当時満七一歳)のような高齢の女性を含む、高齢者や身体に疾患を有する者が多数往来しているような病院等の施設の占有者には、右のような事故を回避するため、一般の住宅や一般公衆の出入りする通常の施設の占有者とは違った、利用者の安全へのより高度の注意義務が課せられているというべきであるとし、防火扉の設置保存に瑕疵があるとして、病院の工作物責任を認めた。

② さらに、被害者に対する加害行為と加害行為以前から存在した被害者の疾患とがとも

に原因となって損害が発生した場合に、損害賠償額を算定するに当たり、民法七二二条二項の規定を類推適用して被害者の疾患を勘酌することができるのは、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失する場合に限られるとし、本件では減額を認めなかった。
事件番号・判例時報 最高裁HP

平成10(ワ)135 
裁判年月日 平成12年8月31日 
事件名 請負代金請求事件 
裁判所名・部 福島地裁会津若松支部 
判示 一部容認 一部棄却 
原審事件番号  
原審裁判所名  
原審結果  
被害者 入院患者 
天候等の状況  
ID:303[mid:72]