事故事例の詳細
事故概要
子供(5歳)が、友達らと、他人所有のマンションの門扉を押したり引いたりして、門扉をレールの上で動かしながら遊んでいたところ、門扉の戸車がレールから外れてしまい、そのため門扉は、子供の重みで傾きながら動き出し、門扉の上枠が中間支柱のガイドローラーから外れて倒れ、子供が下敷きになり圧死した。
門扉は、事故発生の前までは、レールから外れて倒れるようなことが起こらなかったが、近所の子供たちがしばしばマンションの敷地に入り込んだり、出入口付近の傾斜部分にたむろしたりして遊んでいた。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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物が固定されていない |
倒れてきたものにぶつかる |
ぶつかり |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
集合住宅の共有部等 |
場所 |
外構・アプローチ |
建築部位 |
ドア・シャッター |
障害程度 |
死亡 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 建物所有者
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵あり
ア 門扉が倒れて、子供達の生命身体に危害を及ぼすような事故が発生することのないように注意を払い、日ごろから子供たちが門扉を遊び道具として使用することのないように警告をしたり、子供たちが門扉に手足を掛けても、子供たちの力では門扉を動かすことのできないような装置を取り付けたりして、門扉が子供たちの遊び道具とならないような措置を講じておくべきであったにもかかわらず、そのような対応がされていないこと
イ 万が一子供たちが門扉を遊び道具として自在に動かしたとしても、門扉が子供たちの力でたやすく倒れてしまうようなことのないような措置を講じておくべきであったにもかかわらず、そのような措置を講じていないこと
から、門扉には設置・保存に瑕疵がある。
- 過失相殺
- 被害者の保護者には、門扉で遊ぶことにより生じる危険性が予測できなにもかかわらず、門扉で遊んだりすることのないようにと警告していないことや、子供たちが他人の屋敷であるマンション敷地に入り込み、危険の大きい門扉を動かしたりして遊んでいたのを放置していた点で監督・監護義務を著しく怠ったものとし、過失相殺(8割)をした。
判例の解説
- 事案の概要
- 子供(5歳)が、友達らと、他人所有のマンションの門扉を押したり引いたりして、門扉をレールの上で動かしながら遊んでいたところ、門扉の戸車がレールから外れてしまい、そのため門扉は、子供の重みで傾きながら動き出し、門扉の上枠が中間支柱のガイドローラーから外れて倒れ、子供が下敷きになり圧死した。被害者遺族がマンション所有者に対し、工作物責任に基づく損害賠償を請求した事案である。
なお、門扉は、事故発生の前までは、レールから外れて倒れるようなことが起こらなかったが、近所の子供たちがしばしばマンションの敷地に入り込んだり、出入口付近の傾斜部分にたむろしたりして遊んでいた。
- 裁判所の判断
- 裁判所は、
① 本件門扉について
ア 門扉が倒れて、子供達の生命身体に危害を及ぼすような事故が発生することのないように注意を払い、日ごろから子供たちが門扉を遊び道具として使用することのないように警告をしたり、子供たちが門扉に手足を掛けても、子供たちの力では門扉を動かすことのできないような装置を取り付けたりして、門扉が子供たちの遊び道具とならないような措置を講じておくべきであったにもかかわらず、そのような対応がされていないこと
イ 万が一子供たちが門扉を遊び道具として自在に動かしたとしても、門扉が子供たちの力でたやすく倒れてしまうようなことのないような措置を講じておくべきであったにもかかわらず、そのような措置を講じていないこと
から、門扉には設置・保存に瑕疵があったものと認めた。
② ただし、被害者のい保護者には、門扉で遊ぶことにより生じる危険性が予測できなにもかかわらず、門扉で遊んだりすることのないようにと警告していないことや、子供たちが他人の屋敷であるマンション敷地に入り込み、危険の大きい門扉を動かしたりして遊んでいたのを放置していた点で監督・監護義務を著しく怠ったものとし、過失相殺(8割)をした。
事件番号・判例時報 |
昭和53年(ワ)423
1035号110頁 |
裁判年月日 |
昭和56年9月28日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
浦和地裁 |
判示 |
一部容認 一部棄却 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
幼児 |
天候等の状況 |
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ID:186[mid:32]