事故事例の詳細

事故概要

7歳1ヶ月の子供が大人用プールに入り溺死した事故。大人用プールと子供用プールの間には往来防止柵が設置されていなかった。 



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事故概要詳細

情報ソース 裁判判例 
建物用途 公共施設  
場所 水回り(キッチン・トイレ・風呂) その他場所  
建築部位 その他  
障害程度 死亡  
事故にあった方 年齢  
性別  

判例の詳細

責任の所在
工作物所有者・占有者(プール経営者)
瑕疵・過失の有無
瑕疵なし

子供用防止柵の設置の有無は、一般的に有料プールにおける入場者の通常の行動状況やこれに対し要求される監視体制などを考慮して相関的に決すべきところ、本件では、保護者同伴での大人用プールの使用を認めていたこと、一応の監視体制がとられていたことから、防護柵の不存在をもって工作物の設置保存上の瑕疵には当たらない。

過失有り

 防止柵がない以上、監視員には子供が大人用プールに接近するのを未然に発見防止すべき注意義務があることは明らかであり、当時の遊泳客数からしても被害者が大人用プールに接近するのを防止することが十分可能であったことから、監視員に監視義務懈怠の過失がある。

判例の解説

事案の概要
7歳1ヶ月の子供が大人用プールに入り溺死した事故。大人用プールと子供用プールの間には往来防止柵が設置されていなかった。被害者の両親が、経営者を相手取り、当該柵の不存在を理由に所有者としての工作物責任と、監視員の監視義務違反をもとにした使用者責任を根拠に、損害賠償を求めた事案である。
裁判所の判断
① 工作物責任については、子供用防止柵の設置の有無は、一般的に有料プールにおける入場者の通常の行動状況やこれに対し要求される監視体制などを考慮して相関的に決すべきところ、本件では、保護者同伴での大人用プールの使用を認めていたこと、一応の監視体制がとられていたことから、防護柵の不存在をもって工作物の設置保存上の瑕疵には当たらない(よって工作物責任は生じない)とした。

② 使用者責任については、防止柵がない以上、監視員には子供が大人用プールに接近するのを未然に発見防止すべき注意義務があることは明らかであり、当時の遊泳客数からしても被害者が大人用プールに接近するのを防止することが十分可能であったことから、監視員に監視義務懈怠の過失がある。そして、プール経営者にも被用者である監視員が事業の執行につき惹起した損害を賠償する責任があるとして、使用者責任を認めた。
事件番号・判例時報 昭和46ワ661

302号230頁 
裁判年月日 昭和47年12月28日 
事件名 損害賠償請求事件 
裁判所名・部 福岡地裁小倉支部 
判示 一部認容 
原審事件番号  
原審裁判所名  
原審結果  
被害者 利用客 
天候等の状況  
ID:174[mid:17]