事故事例の詳細
事故概要
母親と子供2名(当時1歳11月、当時3月)が感冒の診察を受けさぜるため病院へ来院していたところ、下の子にミルクを飲ませている隙に、上の子供が廊下へ出て階段で遊んでいるうち、右階段の上から二、三段目付近隙間から身を乗り出して下をのぞくなどしたところ、重心を失い、その直下約三・四メートルの一階床面に墜落し死亡した。
階段手摺りには縦が最大四五センチメートル、最小二一センチメートル、横が八四センチメートルのカギ型の直線によって囲まれた不整型の空間があり、各階とも吹き抜けの構造で防護網等は設置されてなく、床面は合成樹脂フローリングタイル張リで滑り易い状態であった。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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手すりにすき間がある |
手すりなどのすき間をすり抜ける |
墜落(ベランダや屋上などの高所から落下すること) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
病院 |
場所 |
廊下・ホール |
建築部位 |
階段 手すり |
障害程度 |
死亡 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 市(病院設置者)
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵あり
「本件階段は多数の幼児がこれを本来の用途に利用する他、病院の機構、診察時間、患者数等の関係上、順番を待つ幼児が、監護者の監視の目を離れて右階段で遊び、危険を弁えずその手摺りに近付き、時には好奇心から手摺りの隙間から下をのぞこうとし、くぐり抜けられる空間でもあれば同所から身を乗り出すなどすることもあり得ることが容易に予想されるうえ、このような場合、頭が重く、手足の力もしつかりしていない幼児がバランスを失って右隙間から下へ転落することもまた容易に予測される。」とし
① 「本件階段及び手摺りにはかかる事態を予測して、幼児が手摺りの隙間から身を乗り出すことができないようにするとか、転落防止の為の防護網を設けるなど、事故の発生を未然に防止すべき設備を備えていなかつたものである」から、本件階段(及び手摺り)の設置及び管理に瑕疵がある。
- 過失相殺
- 被害者側の過失も認め、過失相殺(5割)している。
判例の解説
- 事案の概要
- 母親と子供2名(当時1歳11月、当時3月)が感冒の診察を受けさぜるため病院へ来院していたところ、下の子にミルクを飲ませている隙に、上の子供が廊下へ出て階段で遊んでいるうち、右階段の上から二、三段目付近隙間から身を乗り出して下をのぞくなどしたところ、重心を失い、その直下約三・四メートルの一階床面に墜落し死亡した。母親及び被害者が、病院の設置社である市に対し、営造物責任に基づき損害賠償を請求した事案である。
なお、階段手摺りには縦が最大四五センチメートル、最小二一センチメートル、横が八四センチメートルのカギ型の直線によつて囲まれた不整型の空間があり、各階とも吹き抜けの構造で防護網等は設置されてなく、床面は合成樹脂フローリングタイル張リで滑り易い状態であった。
- 裁判所の判断
- 裁判所は、
① 営造物の設置及び管理の瑕疵は、法令の規定に従つていれば済むというものではないし、抽象的に病院ひいてはそこに設置された階段本来の用途、目的の見地からのみ判断されるべきものではなく、当該営造物全体の中で現実に営んでいる働きや、周囲の状況などを具体的に検討し、通常予想される危険の発生を防止するに足りる性質、構造を備えているか否かによつて判断されなければならないとした上で、
② 「本件階段は多数の幼児がこれを本来の用途に利用する他、病院の機構、診察時間、患者数等の関係上、順番を待つ幼児が、監護者の監視の目を離れて右階段で遊び、危険を弁えずその手摺りに近付き、時には好奇心から手摺りの隙間から下をのぞこうとし、くぐり抜けられる空間でもあれば同所から身を乗り出すなどすることもあり得ることが容易に予想されるうえ、このような場合、頭が重く、手足の力もしつかりしていない幼児がバランスを失つて右隙間から下へ転落することもまた容易に予測される。」とし
③ 「本件階段及び手摺りにはかかる事態を予測して、幼児が手摺りの隙間から身を乗り出すことができないようにするとか、転落防止の為の防護網を設けるなど、事故の発生を未然に防止すべき設備を備えていなかつたものである」から、本件階段(及び手摺り)の設置及び管理に瑕疵があると認定した。
④ ただし、被害者側の過失も認め、過失相殺(5割)している。
事件番号・判例時報 |
昭和49(ワ)24
329号180頁 |
裁判年月日 |
昭和50年6月25日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
長野地裁諏訪支部 |
判示 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
患者 |
天候等の状況 |
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ID:177[mid:22]