事故事例の詳細

事故概要

本件は、温泉施設の利用者が、温泉施設内で転倒した事故につき、温泉施設経営者に対し、安全配慮義務違反による不法行為に基づく損害賠償を請求した事案である。 



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事故概要詳細

情報ソース 裁判判例 
建物用途 店舗・娯楽施設等  
場所 水回り(キッチン・トイレ・風呂)  
建築部位 その他  
障害程度   
事故にあった方 年齢 85歳 
性別 女性 

判例の詳細

責任の所在
瑕疵・過失の有無
安全配慮義務違反なし
・事故現場の浴場入口には高さ約8cmの段差があるが、そのような段差があるからといって、その段差の浴場側にゴムマットを敷いたりする義務があるとはいえないこと
・本件転倒事故以前から、本件浴場入口側のスライドドアの右側ガラス戸に「浴場内は、スベリますので、ご注意願います。」という横書きの掲示板を掲示していたこと

判例の解説

事案の概要
本件は、温泉施設(以下「本件施設」という。)の利用者が、温泉施設内で転倒し(以下「本件事故」という。)負傷したことから、温泉施設経営者に対し、安全配慮義務違反の不法行為に基づく損害賠償を請求した事案である。
裁判所の判断
1 本件事故現場の浴場(以下「本件浴場」という。)の入口には高さ約8cmの段差があるが、そのような段差があるからといって、その段差の浴場側にゴムマットを敷いたりする義務があるとはいえないし、本件事故現場の床タイルは設置後約21年が経過しているが、ゴムマットを敷くなどをすべき義務が生じるほど床タイルがすり減っていたと認めるに足りる証拠はない。また、他の温泉施設で浴場入口部分の浴場側に滑り止めのゴムマットが敷かれているからといって、本件においても同様に滑り止めのゴムマットを敷く義務があったとはいえないところである。


2 浴場は、人が体を洗ったり、お風呂に入ったりする場所であるので、その入口付近では体を洗った際の石鹸水等が流れ込んでくることがあるし、浴場と脱衣所の間の通路のバスマットは浴場から出て来た人の体に付着した水分を吸い込んで濡れていることがあると思われるが、浴場施設の利用者は、そのようなことがあることを想定して転倒しないように注意して行動すべきであって、本件浴場の入口部分にある段差の浴場側が石鹸水や水あか等で滞留した状態であったからといって、温泉施設経営者側がゴムマットを敷いたりする義務があったとはいえない。

3 以上のほか、本件事故以前から、本件浴場の入口側のスライドドアの右側ガラス戸に「浴場内は、スベリますので、ご注意願います。」という横書きの掲示板を掲示していたことなども踏まえれば、浴場施設経営者に安全配慮義務違反があったとは認められない
本判決のポイント
事故現場である床タイルの状況、利用客側にも注意すべき点があったこと、浴場扉に注書きがあることなどを考慮し、温泉施設経営者には、滑り止めのゴムマットを敷くべき義務はなく、安全配慮義務違反はないとされたことに留意する必要がある。
事件番号・判例時報 平成27年(ワ)第24号 
裁判年月日 2018/11/29 
事件名 損害賠償請求事件 
裁判所名・部 旭川地方裁判所判決 
判示  
原審事件番号  
原審裁判所名  
原審結果  
被害者  
天候等の状況  
ID:2089[mid:]