事故事例の詳細
事故概要
本件は,パチンコ店の利用客が、大雪の日に店舗入り口付近で転倒し負傷したとして、店舗経営者に対し,信義則上の安全配慮義務違反の不法行為に基づき,または遊技契約上の付随義務としての安全配慮義務違反の債務不履行に基づき,損害賠償を請求した事案である。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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濡れ |
すべる |
転倒(床の上で転ぶこと) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
店舗・娯楽施設等 |
場所 |
出入り口 |
建築部位 |
平坦な床 |
障害程度 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 瑕疵・過失の有無
- 安全配慮義務違反なし
・事故当時、事故現場の出入口には足拭きマットが設置されていたものと認められること
・事故当時、事故現場の出入口付近の床面の清掃作業は、従業員によって相当程度行われていたものと考えられること
判例の解説
- 事案の概要
- パチンコ店(以下「本件店舗」という。)の利用客が、大雪の日に店舗入り口(以下「本件出入口」という。)付近で転倒し(以下「本件事故」という。),右大腿骨頸部骨折の傷害を負ったとして、店舗経営者に対し,信義則上の安全配慮義務違反の不法行為に基づき,または遊技契約上の付随義務としての安全配慮義務違反の債務不履行に基づき損害賠償を請求した事案である。
- 裁判所の判断
- 1 本件店舗1階には,本件出入口を含めて5つの出入口があるが,継続的に業者から出入口用の足拭きマットの納品及び定期的交換を受けていること,本件店舗の営業時間中はこれらの出入口では通常足拭きマットが設置されていたことが認められ、足拭きマットが本件事故時の本件出入口に限って設置されていなかったなどということは考え難いことから,本件事故当時本件出入口には足拭きマットが設置されていたものと認めるのが相当である。
2 本件事故当時、本件店舗の清掃マニュアルに従った人員配置がなされ,従業員がモップ掛け等の清掃作業に専念できる状況にあったことからすれば、本件出入口付近の床面の清掃作業は従業員によって相当程度行われていたものと考えられる。また,本件出入口は他の出入口と比較して客の出入りが少なかったこと,上記のとおり本件出入口にも足拭きマットが設置されていたと認められることなども考慮すれば,本件事故当日の本件出入口付近は水浸し状態のまま放置されていたという原告の供述は採用することができない。
3 また、原告は,本件事故直前に一旦店外に出てたばこを買いに行っており,その際靴底に雪を付着させたことが考えられ,これが本件事故の原因となった可能性もあることも考慮すれば、本件事故につき店舗経営者に安全配慮義務違反があったとすることはできない。
- 本判決のポイント
- 通常時の設備の設置状況や清掃マニュアルに従った人員配置等の具体的な事実関係から、事故当時、事故現場である出入口付近は水浸し状態のまま放置されていたとはいえないとして、店舗経営者の安全配慮義務違反はなかったとされたことに留意する必要がある。
事件番号・判例時報 |
平成28年(ワ)第4001号 |
裁判年月日 |
2017/10/6 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
東京地方裁判所判決 |
判示 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
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天候等の状況 |
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ID:2091[mid:]