事故事例の詳細
事故概要
ホテルに宿泊していた当時満四才のこどもが、宿泊していた部屋に隣接する階段を昇り、二階の大広間に遊びに行き、誤って窓からその腰板の上部より七・三六メートル下の未舗装、砂利混じりの道路に転落して負傷した。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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窓枠が低い |
窓から落ちる |
墜落(ベランダや屋上などの高所から落下すること) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
ホテル・旅館 |
場所 |
その他室内 |
建築部位 |
窓 |
障害程度 |
重度のケガ |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 建物所有者・占有者(ホテル経営者)
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵あり
本件大広間及び窓につき、
ア 大広間の入口には障子があったけれども、それは開いていたこと
イ 入口及び階段の昇り口には別段立入を禁止する旨の標識はないこと
ウ 本件窓の硝子戸は開けられていたこと
エ 本件窓は、高さ(縦)が98センチメートル、幅(横)が3.55メートルで、中央に柱があり、腰板の高さは40センチメートルに過ぎないところ、腰板の上部から40センチメートルの高さの所に手摺が設けられていたが、これは直径3センチメートルの鉄製の棒が一本本件窓に添いこれより約24・5センチメートル張り出して設けられているのみであったこと、
から、老人、子供を含む多数の休憩者、宿泊者が利用する温泉旅館としては、本件窓のこのような危険な状態は工作物の設置・保存に瑕疵ある場合に該当する。
- 過失相殺
- 被害者側の両親は、当時四才の子供と九才の兄の両名のみを放置していることから、保護、監督の義務を怠った過失があるとして、過失相殺(2割程度)している。
判例の解説
- 事案の概要
- ホテルに宿泊していた当時満四才のこどもが、宿泊していた部屋に隣接する階段を昇り、二階の大広間に遊びに行き、誤って窓からその腰板の上部より七・三六メートル下の未舗装、砂利混りの道路に転落して負傷した。被害者がホテル経営者に対し、工作物責任に基づく損害賠償を請求した事案である。
- 裁判所の判断
- 裁判所は、
① 本件大広間及び窓につき、
ア 大広間の入口には障子があったけれども、それは開いていたこと
イ 入口及び階段の昇り口には別段立入を禁止する旨の標識はないこと
ウ 本件窓の硝子戸は開けられていたこと
エ 本件窓は、高さ(縦)が98センチメートル、幅(横)が3.55メートルで、中央に柱があり、腰板の高さは40センチメートルに過ぎないところ、腰板の上部から40センチメートルの高さの所に手摺が設けられていたが、これは直径3センチメートルの鉄製の棒が一本本件窓に添いこれより約24・5センチメートル張り出して設けられているのみであったこと、
を認定し、
② 老人、子供を含む多数の休憩者、宿泊者が利用する温泉旅館としては、本件窓の右のような危険な状態は工作物の設置・保存に瑕疵ある場合に該当すると判断した。
③ さらに、事故当時の本件窓の手摺と同様の設備の旅館が多数存するとか、被告が本件ホテルの構造、設備につき監督官庁の承認を得ているとかの被告主張の事実は右の結論に直接影響を及ぼすものではないとも判断している。
④ ただし、利用者の側においても事故が発生しないよう相当の注意をすべきものと考えられるところ、被害者側の両親は、当時四才の子供と九才の兄の両名のみを放置していることから、保護、監督の義務を怠った過失があるとして、過失相殺(2割程度)している。
事件番号・判例時報 |
昭和44(ワ)6848
656号73頁 |
裁判年月日 |
昭和46年9月14日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
東京地裁 |
判示 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
利用客 |
天候等の状況 |
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ID:170[mid:10]