事故事例の詳細
事故概要
賃借人の同居人が、居室で起床し、雨戸を開けるべく一枚目の雨戸を左側の戸袋に納め、二枚目の雨戸を開けようとした際、重心を失なつてよろけ、本件居室の窓の外側に設置されていた目隠し用の手すりに触れたところ、築後二〇年余を経て老朽化していたことから右手すりが基部(取付部分)から外れ、そのはずみで約三・七メートル程下の地上に転落し負傷した。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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手すりなどの強度不足 |
手すりなどを押し倒す |
墜落(ベランダや屋上などの高所から落下すること) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
集合住宅の共有部等 |
場所 |
バルコニー・屋上・その他高所 |
建築部位 |
窓 手すり |
障害程度 |
中度のケガ |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 建物所有者
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵あり
本件手すりが老朽化し脱落し易い状態になっていたことは、工作物の瑕疵に該当する。
- その他
- 本件では、
ア 被害者は、賃借人の同居人であり占有補助者に該当すること、
イ 被害者及び賃借人は、本件手すりが危険な状態にあるとは認識していなかつたことから特段の補修を施すことなく放置していたものであり、被害者及び賃借人に工作物の保存に瑕疵があつたものといえること
から、第一次的に責任を負うべく占有者・占有補助者の保存の瑕疵によって被害が生じた以上、第二次的責任者である所有者に対し工作物責任を求めることはできないとした。
判例の解説
- 事案の概要
- 賃借人の同居人が、居室で起床し、雨戸を開けるべく一枚目の雨戸を左側の戸袋に納め、二枚目の雨戸を開けようとした際、重心を失なつてよろけ、本件居室の窓の外側に設置されていた目隠し用の手すりに触れたところ、築後二〇年余を経て老朽化していたことから右手すりが基部(取付部分)から外れ、そのはずみで約三・七メートル程下の地上に転落し負傷した。被害者は、建物所有者に対し、工作物責任に基づく損害賠償を請求した事案である。
- 裁判所の判断
- 裁判所は、
① 本件手すりが老朽化し脱落し易い状態になつていたことは、工作物の瑕疵に該当するとしたが、
② 民法七一七条は、土地の工作物の瑕疵により他人に損害を生ぜしめたときは第一次的に占有者、第二次的に所有者がその責に任ずべきことを定めているのであるから、第一次責任者である占有者ないし占有補助者は右の他人ないし被害者には該当しないとし、
③ 本件では、
ア 被害者は、賃借人の同居人であり占有補助者に該当すること、
イ 被害者及び賃借人は、本件手すりが危険な状態にあるとは認識していなかつたことから特段の補修を施すことなく放置していたものであり、被害者及び賃借人に工作物の保存に瑕疵があつたものといえること
から、第一次的に責任を負うべく占有者・占有補助者の保存の瑕疵によって被害が生じた以上、第二次的責任者である所有者に対し工作物責任を求めることはできないとして、請求を棄却した。
事件番号・判例時報 |
昭和56年(ワ)590
466号144頁 |
裁判年月日 |
昭和56年10月8日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
東京地裁 |
判示 |
棄却 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
賃借人同居人 |
天候等の状況 |
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ID:189[mid:40]