事故事例の詳細
事故概要
建物の三階にある美容室を訪れた客が、子供(2歳)を店内に設けられた育児室で遊ばせ、整髪終了後会計の際、店員と2~3分話をしている隙に、子供が、踊り場の手すりの隙間から落下転落して負傷した事故。
踊り場に設置されていた手すりは、道路に面する幅約二・四一メートルの部分に設置され、笠木(手すりの上の横棒)のおよそ真中に設置された手すり子(手すりの縦の棒)によって分けられた左右の部分にそれぞれ×字型の鉄製の格子が設けられており、このため、本件手すりの笠木の下には底辺約一一二センチメートルないし一一六センチメートル、高さ約五〇ないし五八センチメートルの三角形の隙間が八箇所あった。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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手すりにすき間がある |
手すりなどのすき間をすり抜ける |
墜落(ベランダや屋上などの高所から落下すること) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
店舗・娯楽施設等 |
場所 |
外構・アプローチ 廊下・ホール |
建築部位 |
階段 手すり |
障害程度 |
重度のケガ |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 建物所有者
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵あり
本件建物は、
ア 本件建物の三階部分は、女性を顧客とする美容室が入居することを前提に設計され、建築当初から、美容室内に子供連れの女性客が整髪してもらう間子供を遊ばせておくための育児室が設けられていたこと
イ 本件美容室への通路にあたる本件踊り場は、母親等の保護者に連れられた幼児も通行することを予定した施設として、通常有すべき安全性が要求されること
から、上記のような隙間がある本件手すりしか設置されていない本件踊り場は、設置又は保存につき瑕疵がある。
- 過失相殺
- 被害者の母親には監視義務違反の過失があり、過失相殺(5割)している。
判例の解説
- 事案の概要
- 建物の三階にある美容室を訪れた客が、子供(2歳)を店内に設けられた育児室で遊ばせ、整髪終了後会計の際、店員と2~3分話をしている隙に、子供が、踊り場の手すりの隙間から落下転落して負傷した事故が発生した。被害者が、建物所有者に対しては工作物責任に基づき損害賠償を請求した事案である。
なお、踊り場に設置されていた手すりは、道路に面する幅約二・四一メートルの部分に設置され、笠木(手すりの上の横棒)のおよそ真中に設置された手すり子(手すりの縦の棒)によって分けられた左右の部分にそれぞれ×字型の鉄製の格子が設けられており、このため、本件手すりの笠木の下には底辺約一一二センチメートルないし一一六センチメートル、高さ約五〇ないし五八センチメートルの三角形の隙間が八箇所あった。
- 裁判所の判断
- 裁判所は、
① 本件建物は、
ア 本件建物の三階部分は、女性を顧客とする美容室が入居することを前提に設計され、建築当初から、美容室内に子供連れの女性客が整髪してもらう間子供を遊ばせておくための育児室が設けられていたこと
イ 本件美容室への通路にあたる本件踊り場は、母親等の保護者に連れられた
幼児も通行することを予定した施設として、通常有すべき安全性が要求されること
から、上記のような隙間がある本件手すりしか設置されていない本件踊り場は、設置又は保存につき瑕疵があったと認定した。
③ ただし、被害者の母親には監視義務違反の過失があり、過失相殺(5割)している。
事件番号・判例時報 |
平成2(ワ)265
802号181頁 |
裁判年月日 |
平成4年9月1日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
福岡地裁小倉支部 |
判示 |
一部認容 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
利用者 |
天候等の状況 |
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ID:296[mid:57]