事故事例の詳細

事故概要

脳梗塞の治療及びリハビリテーションのため入院中の患者が、病院内階段の2階と3階の間の踊り場に設置されていた窓から転落し,頭蓋骨骨折,脳内出血及び慢性硬膜下血腫の傷害を負った。

 転落した窓は,上下2枚,左右2枚の合わせて4枚のガラスからなる窓であって,本件事故当時,閉められてクレセント錠で施錠されていたこと、窓枠下枠は,通常のものよりも低い位置にあったが,落下防止のバーが設置されており,下の2枚の窓ガラスには,「危険ですからあけないで下さい」との貼り紙がされていた。 



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事故概要詳細

情報ソース 裁判判例 
建物用途 病院  
場所 その他室内  
建築部位 窓  
障害程度 重度のケガ  
事故にあった方 年齢  
性別  

判例の詳細

責任の所在
建物所有者・占有者

病院
瑕疵・過失の有無
瑕疵無し

ア 窓は,その窓枠下辺がやや低い位置にあったとはいえ,落下防止のバーが設置されていたこと

イ 本件事故当時,クレセント錠で施錠されていたのであること

ウ 本件事故は被害者の異常な行動により引き起こされたものであること

から,本件窓は,通常の入院患者にとって特に転落の危険があったとは認められず,設置又は保存の瑕疵があったとは認められない。

判例の解説

事案の概要
脳梗塞の治療及びリハビリテーションのため入院中の患者が、病院内階段の2階と3階の間の踊り場に設置されていた窓から転落し,頭蓋骨骨折,脳内出血及び慢性硬膜下血腫の傷害を負った事故が発生した。被害者は、病院に対し、安全配慮義務違反等の過失による一般不法行為及び工作物責任に基づき、損害賠償を請求した事案である。

なお、転落した窓は,上下2枚,左右2枚の合わせて4枚のガラスからなる窓であって,本件事故当時,閉められてクレセント錠で施錠されていたこと、窓枠下枠は,通常のものよりも低い位置にあったが,落下防止のバーが設置されており,下の2枚の窓ガラスには,「危険ですからあけないで下さい」との貼り紙がされていたことが認定されている。
裁判所の判断
裁判所は、

① 本件事故が、看護師が被害者の臥床を確認したわずか2,3分後に,原告Aが,病室から抜け出し,独力で本件階段を下りて,踊り場に行き,窓のクレセント錠による施錠を開錠し,バーを越えて,窓から外に出ようとしたと認定し、被害者がこのような異常な行動をとることは,看護師及び病院において,到底予見不可能であったとして、安全配慮義務違反その他の過失があったとは認められないとした。

② 工作物責任については、

 ア 窓は,その窓枠下辺がやや低い位置にあったとはいえ,落下防止のバーが設置されていたこと

 イ 本件事故当時,クレセント錠で施錠されていたのであること

 ウ 本件事故は被害者の異常な行動により引き起こされたものであること

から,本件窓は,通常の入院患者にとって特に転落の危険があったとは認められず,設置又は保存の瑕疵があったとは認められないとした。
事件番号・判例時報 平成14(ワ)22018

最高裁HP 
裁判年月日 平成15年11月19日 
事件名 損害賠償請求 
裁判所名・部 東京地裁 
判示 棄却 
原審事件番号  
原審裁判所名  
原審結果  
被害者 患者 
天候等の状況  
ID:313[mid:87]