事故事例の詳細
事故概要
賃貸マンションの専用部分内の浴室において当専有部分居住者(13歳)が入浴中、都市ガスの不完全燃焼による一酸化炭素中毒により死亡した。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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不完全燃焼・換気不足 |
一酸化炭素中毒 |
その他(火傷・感電・溺水・中毒など) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
集合住宅の共有部等 |
場所 |
水回り(キッチン・トイレ・風呂) |
建築部位 |
その他 |
障害程度 |
死亡 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 建物所有者
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵あり
ガス風呂排気筒、換気設備の標準設置方法と本件浴室の構造設備とを対比し、いくつかの点で本件浴室の排気筒、換気設備は標準設置方法の定めるところに悖り、その効用において遥かにこれに及ばない不完全なものであることが認められるとした。
その上で、本件浴室の風呂釜を燃焼させた場合、外部の気象条件如何によっては、排気ガスが排気筒内を逆流して、本件浴室内に充満し、その結果、浴室内の酸素濃度を低下させ、風呂釜の不完全燃焼を誘発し、ひいて一酸化炭素の発生をもたらし、人体に危険を及ぼす虞れの存することが認められる。よって、本件浴室は、その設置につき瑕疵がある
- 過失相殺
- 被害者側も換気を十分行わなかった点に過失があるとして、過失相殺(2割弱)をしている。
判例の解説
- 事案の概要
- 賃貸マンションの専用部分内の浴室において当専有部分居住者(13歳)が入浴中、都市ガスの不完全燃焼による一酸化炭素中毒により死亡したことから、遺族が建物所有者に対し、工作物責任に基づく損害賠償を請求した事案である。
- 裁判所の判断
- 裁判所の判断
① 裁判所は、ガス風呂排気筒、換気設備の標準設置方法と本件浴室の構造設備とを対比し、いつくかの点で本件浴室の排気筒、換気設備は標準設置方法の定めるところに悖り、その効用において遥かにこれに及ばない不完全なものであることが認められるとした。
② さらに、鑑定結果も踏まえ、裁判所は、本件浴室の風呂釜を燃焼させた場合、外部の
気象条件如何によっては、排気ガスが排気筒内を逆流して、本件浴室内に充満し、その結果、浴室内の酸素濃度を低下させ、風呂釜の不完全燃焼を誘発し、ひいて一酸化炭素の発生をもたらし、人体に危険を及ぼす虞れの存することが認められると判断し、本件浴室は、その設置につき瑕疵が存するとした。
③ そして、本件浴室は、これに附属する排気筒、換気設備と一体となって、民法七一七条一項所定の土地の工作物にあたるというべきであるから、被告は、本件浴室の所有者
として、被害者の死亡によって生じた損害を賠償する義務があるといわなければならないと結論付けている。
④ ただし、被害者側も換気を十分行わなかった点に過失があるとして、過失相殺(2割弱)をしている。
事件番号・判例時報 |
昭和45年(ワ)9863
793号74頁 |
裁判年月日 |
昭和50年4月30日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
東京地裁 |
判示 |
一部容認 一部棄却 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
賃借人(入居者)) |
天候等の状況 |
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ID:172[mid:15]