事故事例の詳細
事故概要
ディスコの照明装置の電動昇降装置に使用されていたローラーチェーンが疲労破断して照明装置が落下し、死者3名、負傷者13名を出した事件。
この事故の事故パターン
|
事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
|
自重・外力による力 |
建物の一部が落ちる |
落下物にあたる |
|
事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
店舗・娯楽施設等 |
場所 |
その他室内 |
建築部位 |
その他 |
障害程度 |
死亡 |
|
|
判例の詳細
- 責任の所在
- 照明装置の設計・製作・設置業者
- 瑕疵・過失の有無
- 過失あり
ローラーチェーンが疲労破断した原因は、ローラーチェーンに作用する荷重がその疲労限度荷重を著しく超過した状態であったこと、その状態で長時間疲労破断するに十分な程度繰り返し荷重がかけられていたことにあり、被告人にはそれらの予見可能性、結果回避可能性、予見・結果回避義務があったにもかかわらず、それらを怠った業務上の過失がある。
- その他
- ・懸垂物の安全性をとりまとめた建設省の指針では安全率が7以上が適当であるとされていることなどから、刑法上の結果回避義務として常に安全率10以上をとるべきではないとしている。
・本件では実際の重量が見積もり及び契約時の重量を大幅に超えており、下請け業者である被告にはそのような事態は予見不可能という弁護側の主張については、本件のような非定型的なものについては何ら重量配分につき協議することなく漫然と予定重量に安住することは合理化されるとはいえない(刑法上の過失を否定する要素にはならない)としている。
判例の解説
- 事案の概要
- ディスコの照明装置の電動昇降装置に使用されていたローラーチェーンが疲労破断して照明装置が落下し、死者3名、負傷者13名を出した事件である。電動昇降装置を設計、製作し、据え付け業務に従事した被告人に対し、業務上過失致死傷の刑事責任が問われた。
- 裁判所の判断
- ローラーチェーンが疲労破断した原因は、ローラーチェーンに作用する荷重がその疲労限度荷重を著しく超過した状態であったこと、その状態で長時間疲労破断するに十分な程度繰り返し荷重がかけられていたことにあり、被告人にはそれらの予見可能性、結果回避可能性、予見・結果回避義務があったにもかかわらず、それらを怠ったとして、業務上過失致死傷罪が成立するとした。
- 本判決のポイント
- 設計段階での注意義務を怠ったことにより、業務上過失致死傷罪が成立しうる。
事件番号・判例時報 |
平成2年刑(わ)138
800号275頁 |
裁判年月日 |
平成4年2月26日 |
事件名 |
業務上過失致死被告
事件 |
裁判所名・部 |
東京地裁 |
判示 |
有罪 |
|
原審事件番号 |
|
原審裁判所名 |
|
原審結果 |
|
被害者 |
利用客 |
天候等の状況 |
|
|
ID:295[mid:56]