事故事例の詳細
事故概要
4人がエレベーターから降りた際、最後に降りようとした被害者がエレベーターの扉にはさまれて負傷した事故。
この事故の事故パターン
|
事故のきっかけ |
事故の過程 |
詳細と留意点 |
1 |
|
戸閉時にドアに身体が挟まれる |
挟まれ |
|
事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
ホテル・旅館 |
場所 |
その他場所 |
建築部位 |
エレベーター |
障害程度 |
軽度のケガ |
|
|
判例の詳細
- 責任の所在
- 施設の経営会社の土地工作物責任が否定
所有者の土地工作物責任
- 瑕疵・過失の有無
- 有
ドアの開閉時間、セフティシュー及び過負荷ドア反転装置(かごドア先端に乗降する人が触れたり、挟まったりした場合にドアを反転させる)の作動状況等の要因が重なって生じたものであることが推認される。そして、本件施設が温泉施設であり、顧客が薄い館内着を着用することがあることを考慮すれば、上記のような状況が生じたことは、施設の設置・保存の瑕疵といわざるを得ない。
- 過失相殺
- ・「建築・設備」、「被害者側」に起因する過失の評価の割合について
・「被害者側」の過失のうち、体質的要因、心因的要因、行動要因などの分類
- 損害賠償の範囲
- ・加害行為と相当因果関係の捉え方
・工作物の占有者、所有者としての事故防止に必要な注意はどの程度か
判例の解説
- 事案の概要
- 4人がエレベーターから降りた際、最後に降りようとした被害者がエレベーターの扉にはさまれて負傷した事故である。
被害者は、温泉施設の経営会社及び所有者に対し工作物責任に基づき損害賠償を請求した事案である。
- 裁判所の判断
- ① 裁判所は、エレベーターの扉が、通常のエレベーターより高速で閉まったため、最後に降りようとした被害者が胸を挟まれるかたちになり、かつ、扉がすぐには開かなかった(ただし、数秒もしないうちに開いた)ことなどから、「本件事故は、ドアの開閉時間、セフティシュー及び過負荷ドア反転装置(かごドア先端に乗降する人が触れたり、挟まったりした場合にドアを反転させる)の作動状況等の要因が重なって生じたものであることが推認される」とし、
② 本件施設が温泉施設であり、顧客が薄い館内着を着用することがあることを考慮すれば、上記のような状況が生じたことは、施設の設置・保存の瑕疵といわざるを得ないとした。
③ しかし本件施設において、本件事故以前には同様の事故はなかったことから、温泉施設の経営会社としては、専門業者にメンテナンスを任せることで損害の発生を防止するのに必要な注意は尽くしているものというべきであるとし、占有者の責任は否定して、
④ 温泉施設の建物所有者の工作物責任を認めたものである。
- 本判決のポイント
- 温泉施設のエレベーターにつき、利用者の属性を踏まえて工作物の設置保存の瑕疵を認定している点、占有者は、以前には同様の事故がなかったことから専門業者にメンテナンスを任せることで損害発生のための注意義務を尽くしていると認定している点が参考になる。
事件番号・判例時報 |
平成17年(ワ)13008号
1971号133頁 |
裁判年月日 |
平成18年9月26日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
東京地裁 |
判示 |
|
|
原審事件番号 |
|
原審裁判所名 |
|
原審結果 |
|
被害者 |
宿泊客 |
天候等の状況 |
|
|
ID:1223[mid:103]