事故事例の詳細
事故概要
持ち上がっていたU形側溝の蓋に足を取られて転倒して負傷した。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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床面の凹、穴、溝 |
つまづく |
転倒(床の上で転ぶこと) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
その他 |
場所 |
その他場所 |
建築部位 |
平坦な床 |
障害程度 |
軽度のケガ |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 市の歩道の管理につき瑕疵があるとして市の責任を認めた。
- 瑕疵・過失の有無
- 有り
(理由)
・側溝蓋が5センチメートルほど持ち上がっている状態は,歩行者がそれにつまずいて転倒する危険性は十分にあること
・本件蓋の持ち上がり状態を発見することは十分に可能であり,発見すればその補修も容易に可能であったこと。
・本件蓋の持ち上がり状態が生じてから,本件事故発生までの間に,被告においてその状態を発見し,補修することは,十分に可能であったこと
- 過失相殺
- 8割
・本件蓋の持ち上がっている状態を発見することは十分に可能であったこと
・何ら合理的な理由なく本件側溝を歩行したこと
- 損害賠償の範囲
- -
判例の解説
- 事案の概要
- 本件は,持ち上がっていたU形側溝の蓋に足を取られて転倒して負傷した原告が,道路管理者である被告に対し,道路管理に瑕疵があるとして,国家賠償法2条に基づいて
損害賠償を請求した事案である。
- 裁判所の判断
- 1 側溝は,雨水等の排水を本来の目的とするものであるが,本件側溝は歩道の一部であって,蓋がされて本来の歩道部分と段差がないのであるから,人が歩くことも当然予想される。そうすると,本件蓋が5センチメートルほど持ち上がっている状態は,歩行者がそれにつまずいて転倒する危険性は十分にあり,本件歩道には通常有すべき安全性を欠いていたと一応認定することができる。
2 通常の歩道において,歩行者に足下の道路の状況に常に注意を払う義務を認める法的根拠はなく,また,本件事故当時,本件歩道において歩行者にそのような注意を払うことを求め得るような事情はうかがわれないので,一般の歩行者が通常の注意を払えば,常に本件蓋の持ち上がりに気づいて転倒事故を回避できるとまでは認められない。
3 本件では、市民からの通報もなく,定期パトロールで本件蓋の状態を発見できなかったのであるが,本件側溝の蓋の構造上,異物が混入したり,隙間が生じたり何らかの異常が生ずることは当然予想されるところであり,本件側溝を目視さえすれば(それは現状のパトロールでも十分に可能と思われる。),本件蓋の持ち上がり状態を発見することは十分に可能であり,発見すればその補修も容易に可能であった。
また本件蓋の持ち上がり状態が生じてから,本件事故発生までの間に,市においてその状態を発見し,補修することは,十分に可能であったことら、管理の瑕疵が認められる。
4 ただし、被害者も,本件蓋の持ち上がっている状態を発見することは十分に可能であったのであり,何ら合理的な理由なく本件側溝を歩行したことが本件事故発生の一つの原因であるから,過失相殺が認められるべきである(過失割合8割)。
- 本判決のポイント
- 本判決では、設備等の異常が生じたときから事故発生時までの間において、通常のパトロールにおいて目視等でもその状態を発見し,補修することは十分に可能であったことをもって、管理の瑕疵と評価している点が参考になる。
事件番号・判例時報 |
平成17年(ハ)第4372号 |
裁判年月日 |
平成18年8月2日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
名古屋簡易裁判所 |
判示 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
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天候等の状況 |
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ID:1484[mid:]