事故事例の詳細
事故概要
賃貸マンションの一室において、居住者が室内湯沸し器を使用していたところ、不完全燃焼による一酸化炭素中毒により死亡した。
賃貸マンションは老朽化し,各戸の設備・備品として,各居室内に設置されていたガス瞬間湯沸器及び各居室の天井裏を経て戸外へ通じる燃焼ガスを排出するための金属製排気筒の多数について,同排気筒が腐食して穴が開くなどしていて十分に排気することができないなどの状況であったこと、自主点検により、事故が発生する危険性と、事故を防止するため全排気筒を交換することが必要であるとの指摘を受けていた。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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不完全燃焼・換気不足 |
一酸化炭素中毒 |
その他(火傷・感電・溺水・中毒など) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
集合住宅の共有部等 |
場所 |
その他室内 |
建築部位 |
その他 |
障害程度 |
死亡 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 建物所有者(代表取締役)
- 瑕疵・過失の有無
- 過失有り
自主点検の報告書を閲読した代表者としては,多数の排気筒に欠陥があることを認識しまたは予見しえたしそれが在室者に一酸化炭素中毒をもたらし死傷する可能性があることも十分に予見することができたものと認定した(予見可能性)。
そして、本件マンションを所有するA社の業務全般を統括掌理する代表取締役は、被害者を含む本件マンションの居住者に対し,自主点検の結果を速やかに通知し,湯沸器の使用に当たっての注意を喚起するとともに,欠陥のある排気筒を交換するなどして,湯沸器の不完全燃焼による一酸化炭素中毒事故の発生を未然に防止すべき義務を負っていたにもかかわらず,こうした措置を行わずに約10か月間も放置していたことから、過失がある。
判例の解説
- 事案の概要
- 賃貸マンションの一室において、居住者が室内湯沸し器を使用していたところ、不完全燃焼による一酸化炭素中毒により死亡した事故が発生した。賃貸マンション所有会社の代表者に業務上過失致死傷罪が問われた事案である。
この賃貸マンションは老朽化し,各戸の設備・備品として,各居室内に設置されていたガス瞬間湯沸器及び各居室の天井裏を経て戸外へ通じる燃焼ガスを排出するための金属製排気筒の多数について,同排気筒が腐食して穴が開くなどしていて十分に排気することができないなどの状況であったこと、自主点検により、事故が発生する危険性と、事故を防止するため全排気筒を交換することが必要であるとの指摘を受けたていたことなどが認定されている。
- 裁判所の判断
- 裁判所は、
① 自主点検の報告書を閲読した代表者としては,多数の排気筒に欠陥があることを認識しまたは予見しえたしそれが在室者に一酸化炭素中毒をもたらし死傷する可能性があることも十分に予見することができたものと認定した(予見可能性)。
② そして、本件マンションを所有するA社の業務全般を統括掌理する代表取締役は、被害者を含む本件マンションの居住者に対し,自主点検の結果を速やかに通知し,湯沸器の使用に当たっての注意を喚起するとともに,欠陥のある排気筒を交換するなどして,湯沸器の不完全燃焼による一酸化炭素中毒事故の発生を未然に防止すべき義務を負っていたにもかかわらず,こうした措置を行わずに約10か月間も放置していたことから、過失があるとし、業務上過失致死傷罪の成立を認めた。
事件番号・判例時報 |
平成15(わ)1185
1198-296 |
裁判年月日 |
平成16年9月27日 |
事件名 |
業務上過失致死被告事件 |
裁判所名・部 |
札幌地裁 |
判示 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
入居者(賃借人) |
天候等の状況 |
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ID:315[mid:89]