事故事例の詳細
事故概要
都市ガスを燃料とする風呂窯の設置された浴室において、アパートの居住者(賃貸人)がこの浴室内において、一酸化中毒炭素により死亡した。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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不完全燃焼・換気不足 |
一酸化炭素中毒 |
その他(火傷・感電・溺水・中毒など) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
集合住宅の共有部等 |
場所 |
水回り(キッチン・トイレ・風呂) |
建築部位 |
その他 |
障害程度 |
死亡 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 賃貸人
建築業者
建物販売業者
- 瑕疵・過失の有無
- 過失あり
賃貸人は、安全に入浴することができる浴室を賃借人に提供すべき義務を怠った過失がある。
建築業者は、不動産業者の同意のもと、建築確認を受けた設計とはまったく異なる建物である本件建物(違反建物)を建築し、完了検査の手続きをとらず、また、検査済証の交付も受けなかったことに過失がある。
不動産業者は、喚起、排気装置の完備した瑕疵のない浴室を建築させ、これを売り渡すべき義務があったのにも関わらず、その義務を怠った過失がある。
判例の解説
- 事案の概要
- 都市ガスを燃料とする風呂窯の設置された浴室において、アパートの居住者(賃貸人)がこの浴室内において、一酸化中毒炭素により死亡した事件である。 死亡者の相続人(X)は、ガス供給業者(Y1)、アパートの所有者兼賃貸人(Y2)、アパートの建築工事を請け負った建築業者(Y3)、風呂釜の販売・取付業者(Y4)、アパートの建築工事を注文しY2に売り渡した不動産業者(Y5)に対し、それぞれ損害賠償を請求した
- 裁判所の判断
- ①Y2(賃貸人)は、安全に入浴することができる浴室を賃借人に提供すべき義務を怠った過失があるとして、債務不履行責任が認められた。
②Y3は、Y5の同意のもと、建築確認を受けた設計とはまったく異なる建物である本件建物(違反建物)を建築し、完了検査の手続きをとらず、また、検査済証の交付も受けなかったことに過失があるとして、不法行為責任が認められた。
③Y5は、喚起、排気装置の完備した瑕疵のない浴室を建築させ、これを売り渡すべき義務があったのにも関わらず、その義務を怠った過失があるとして、不法行為責任が認められた。
④Y1は、ガスの配管工事を行った時点で本件浴室に喚起設備があるか否か判断することは不可能であったこと、建築主事による厳重な監査を前提として配管工事をすれば足りることなどから、過失はなく、責任は否定された。
⑤Y4は、ガス風呂釜の器具自体には異常がなかったこと、ガス風呂釜の売り渡し、取付を行っただけで、煙突や換気のことまでを請け負ったわけではないので、過失はなく、責任は否定された。
- 本判決のポイント
- 事故発生につき複数の関係者がいる場合、損害賠償責任を負う者の範囲及びそれぞれの者が負うべき義務について、参考になる。
事件番号・判例時報 |
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裁判年月日 |
昭和55年10月31日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
東京地裁 |
判示 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
居住者 |
天候等の状況 |
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ID:196[mid:107]