事故事例の詳細
事故概要
レストラン従業員が、飲酒後、レストラン所有の建物一階の浴室(約一六・二八平方メートル、一〇畳位)に設置されたプロパンガス風呂に入浴中、一酸化炭素中毒により死亡した。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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不完全燃焼・換気不足 |
一酸化炭素中毒 |
その他(火傷・感電・溺水・中毒など) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
店舗・娯楽施設等 |
場所 |
水回り(キッチン・トイレ・風呂) |
建築部位 |
その他 |
障害程度 |
死亡 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 建物所有者・占有者(レストラン経営者)
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵あり
本件浴室については
ア 構造(両窓と扉を閉めると、密室同然となり、外部との換気は皆無の状態になること)
イ 危険度(換気装置を欠く本件浴室において入浴のため前記湯沸器を使用する場合、入浴者の身体に危険を及ぼす虞れのない許容限度は、約三五分から長くて約四五分程度であること)
ウ 設置目的、使用状況(本件浴室は比較的少人数で短時間に使用される一般家庭用の風呂などと異り、多数の者が相当長時間にわたり連続して入浴使用することを当然予定した業務用の浴室であること)
等を総合勘案すれば、浴室の広さや窓の存在を考慮してもなお、業務用の浴室として危険防止のため換気装置を備える必要があったものと解するのが相当であるから、これを欠く本件浴室には土地の工作物としてその設置に瑕疵があった。
- 過失相殺
- 被害者自身も異常な入浴の仕方をしており(追い焚きのための湯沸器使用はせいぜい四、五分程度で足りるとみられるのに、約二五分以上もこれを燃焼させていたこと)から、飲酒入浴に基因するものと推認し、被害者側に過失があるとして、過失相殺(5割)をした。
判例の解説
- 事案の概要
- レストラン従業員が、飲酒後、レストラン所有の建物一階の浴室(約一六・二八平方メートル、一〇畳位)に設置されたプロパンガス風呂に入浴中、一酸化炭素中毒により死亡した。被害者遺族がレストラン経営者に対し、工作物責任に基づく損害賠償を請求した事案である。
- 裁判所の判断
- 裁判所は、
① 民法七一七条にいう土地の工作物中には、ガス風呂を設置した本件浴室のように設備如何によっては中毒事故等の発生危険があるところでは、浴室の本体そのものだけでなく、浴室に設置してその安全性を確保する換気口や排気筒も含まれるものと解するのが相当であるとした上で、
② 本件浴室については
ア 構造(両窓と扉を閉めると、密室同然となり、外部との換気は皆無の状態になること)
イ 危険度(換気装置を欠く本件浴室において入浴のため前記湯沸器を使用する場合、入浴者の身体に危険を及ぼす虞れのない許容限度は、約三五分から長くて約四五分程度であること)
ウ 設置目的、使用状況(本件浴室は比較的少人数で短時間に使用される一般家庭用の風呂などと異り、多数の者が相当長時間にわたり連続して入浴使用することを当然予定した業務用の浴室であること)
等を総合勘案すれば、浴室の広さや窓の存在を考慮してもなお、業務用の浴室として危
険防止のため換気装置を備える必要があったものと解するのが相当であるから、これを
欠く本件浴室には土地の工作物としてその設置に瑕疵があったと認定した。
③ ただし、被害者自身も異常な入浴の仕方をしており(追い焚きのための湯沸器使用はせいぜい四、五分程度で足りるとみられるのに、約二五分以上もこれを燃焼させていたこと)から、飲酒入浴に基因するものと推認し、被害者側に過失があるとして、過失相殺(5割)をした。
事件番号・判例時報 |
昭和51年(ネ)1510
897号72頁 |
裁判年月日 |
昭和53年2月28日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
大阪高裁 |
判示 |
一部変更 |
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原審事件番号 |
昭和45年(ワ)3993 |
原審裁判所名 |
大阪地裁 |
原審結果 |
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被害者 |
従業員 |
天候等の状況 |
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ID:183[mid:28]