事故事例の詳細
事故概要
農業経営者が電力会社所有の農業用動力線引込用電柱の支線を利用し、針金製枠の雀威し用凧を吊る針金の一端を右支線上方に結び、他方水田上方に張りめぐらした雀威し用の針金の一端をその支線の下部に結ぶような施設をしていた。ところが、その針金の一方が切れ、凧の枠が右電柱に施された引下線の被覆が破損している部分と接触し、引下線に通じていた電気が凧の枠、凧を吊る針金、支線、雀威し用針金と流れたため、右雀威し用針金に触れた第三者が感電死した。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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むき出しのコード |
感電する |
その他(火傷・感電・溺水・中毒など) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
その他 |
場所 |
その他場所 |
建築部位 |
その他 |
障害程度 |
死亡 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 工作物所有者
- 瑕疵・過失の有無
- 過失あり
現に電気が流れている電気施設に接着して、針金を用いて本件のような雀威しの施設をすることは、何時どのような原因からこれに電気が流れ、そのために他人に不測の危害を及ぼすことがあるかも知れないのであり、そのようなことは、通常人の注意をもつてすれば、容易に判明するところであるから、過失がある。
- 損害賠償の範囲
- 本件事故は、電力会社の占有所有にかかる電柱及びその附属物の設置保存の瑕疵(被覆が不完全であったことなど)が一つの原因となったのではないかとの疑があるが、仮に、その瑕疵が本件事故の一因をなしていたとしても、被告の過失がなかったならば本件事故は発生しなかったことは明らかであり、因果関係がある。
判例の解説
- 事案の概要
- 農業経営者が電力会社所有の農業用動力線引込用電柱の支線を利用し、針金製枠の雀威し用凧を吊る針金の一端を右支線上方に結び、他方水田上方に張りめぐらした雀威し用の針金の一端をその支線の下部に結ぶような施設をしていた。ところが、その針金の一方が切れ、凧の枠が右電柱に施された引下線の被覆が破損している部分と接触し、引下線に通じていた電気が凧の枠、凧を吊る針金、支線、雀威し用針金と流れたため、右雀威し用針金に触れた第三者が感電死した。被害者の遺族が農業経営者に対し、不法行為による損害賠償を請求した事案である。
- 裁判所の判断
- 裁判所は、
① 雀威しの施設は、その設置状況から見ても、これを同法条にいう土地の工作物と解することは適当でないとして、工作物責任は認めなかったが、
② 現に電気が流れている電気施設に接着して、針金を用いて本件のような雀威しの施設をすることは、何時どのような原因からこれに電気が流れ、そのために他人に不測の危害を及ぼすことがあるかも知れないのであり、そのようなことは、通常人の注意をもつてすれば、容易に判明するところであるとして、被告の過失を認めた。
③ また、本件事故は、電力会社の占有所有にかかる電柱及びその附属物の設置保存の瑕疵(被覆が不完全であったことなど)が一つの原因となつたのではないかとの疑があるが、仮に、その瑕疵が本件事故の一因をなしていたとしても、被告の過失がなかつたならば本件事故は発生しなかつたことは明らかであり、因果関係を認めた。
④ さらに、工作物の瑕疵と被告の過失とが競合して事故の原因となった場合には、共同不法行為が成立するとし、被告と電力会社が連帯して責任を負担することになり、被害者に対しては、その損害全額を賠償すべき義務があると述べている。
事件番号・判例時報 |
昭和36年(ネ)314
最高裁HP |
裁判年月日 |
昭和39年8月13日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
高松高裁 |
判示 |
一部容認 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
住民 |
天候等の状況 |
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ID:167[mid:5]