事故事例の詳細

事故概要

北海道に所在する大規模小売店の店外階段が、雪で凍っており、その階段を利用した顧客が転倒し負傷した。 



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事故概要詳細

情報ソース 裁判判例 
建物用途 店舗・娯楽施設等  
場所 外構・アプローチ  
建築部位 階段  
障害程度 中度のケガ  
事故にあった方 年齢  
性別  

判例の詳細

責任の所在
建物所有者

管理会社
瑕疵・過失の有無
過失あり

 本件建物に付属する本件階段についてみれば、野外の階段であって、雪が積もったり、氷が付着したりするから、被告らは、歩行者が足を滑らせないように安性を確保して管理すべき注意義務があったにもかかわらず、設置したロードヒーティングの温度管理を十分行わないまま、氷を付着させて原告に利用させた過失がある。

 多数の顧客の出入りが予想される商業施設を提供・管理している場合に、歩行者に自己責任があるからといって、通常予想される態様で施設を利用する歩行者に対し、その安全性を確保した施設を提供するとともに安全性を確保できるように施設を管理すべき注意義務がある。
過失相殺
被害者側にも過失があるとし、過失相殺(5割)をしている。

判例の解説

事案の概要
北海道に所在する大規模小売店の店外階段が、雪で凍っており、その階段を利用した顧客が転倒し負傷した事故につき、建物所有者に対し工作物責任に基づき、管理会社に対し不法行為責任に基づき、損害賠償を請求した事案である。
裁判所の判断
① 裁判所は、建物所有者につき、「本件建物の所有者として、本件建物を商業施設として賃貸しているが、多数の顧客の出入りが予想されるのであるから、利用する顧客に対し、安全性の確保された施設を用意し、あるいは施設の安全性を確保するように管理して本件建物を商業施設として提供する注意義務がある」とした。

② また、裁判所は、管理会社につき、「本件建物の管理の委託を受けているが、多数の顧客が利用する商業施設であるから、顧客に対し、本件建物の安全性を確保するように管理して本件建物を商業施設として提供する注意義務がある」とした。

③ その上で、「本件建物に付属する本件階段についてみれば、野外の階段であって、雪が積もったり、氷が付着したりするから、被告らは、歩行者が足を滑らせないように安性を確保して管理すべき注意義務があったにもかかわらず、設置したロードヒーティングの、度管理を十分行わないまま、氷を付着させて原告に利用させた過失により、本件事故を発生させた」と認定している。

④ さらに裁判所は、「雪国で生活する人間にとって、雪や氷で覆われた道路や階段で転倒しないように注意して歩行することは当然のことであり、転倒しないように注意すべき自己責任があることは」建物所有者らの指摘のとおりであるとしながらも、「多数の顧客の出入りが予想される商業施設を提供・管理している場合に、歩行者に自己責任があるからといって、通常予想される態様で施設を利用する歩行者に対し、その安全性を確保した施設を提供するとともに安全性を確保できるように施設を管理すべき注意義務があることを否定することはできない」とし、建物所有者及び管理会社の法的責任を認めた。ただし、被害者側の過失を5割と認定し、過失相殺をしている。
本判決のポイント
商業施設の場合、利用する多数の顧客の存在を前提に安全性の確保が要求されるとした点が参考になる。
事件番号・判例時報 平成11年(ワ)591

1707号150頁

1063号174頁 
裁判年月日 平成11年11月17日 
事件名 損害賠償請求事件 
裁判所名・部 札幌地裁 
判示 一部容認

一部棄却 
原審事件番号  
原審裁判所名  
原審結果  
被害者 利用客 
天候等の状況  
ID:305[mid:74]