事故事例の詳細
事故概要
会社の従業員であった原告が,会社の営業所の2階に開口していた穴(2階は倉庫であり,商品等を鉄製の荷物乗せ台に乗せて1階から2階へ搬入するために縦幅88.5センチメートル,横幅1メートル28センチメートルの開口部が設けられている)ら1階に転落して負傷した事故。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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(人の立ち入りが想定される高所) |
手すりなどがなく落ちる |
墜落(ベランダや屋上などの高所から落下すること) |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
事務所等 |
場所 |
その他室内 |
建築部位 |
その他 |
障害程度 |
重度のケガ |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 会社(使用者)
- 瑕疵・過失の有無
- 過失有り
営業所を設置・管理している会社側は,本件事故当時,
ア 本件開口部にクレーン非作動時に堅牢な蓋をする等の設備を施して人の落下を防か,
イ 被害者に対し,本件開口部の存在及び本件開口部が段ボールで塞がれている状態であることを具体的に説明し,本件開口部から転落する危険から身を守る具体的指示を原告にすべき義務
を負っているにもかかわらず、いずれもなされていない点で安全配慮義務違反の過失がある。
- 過失相殺
- 被害者側にも過失があり、過失相殺(2割)をしている。
判例の解説
- 事案の概要
- 会社の従業員であった原告が,会社の営業所の2階に開口していた穴(2階は倉庫であり,商品等を鉄製の荷物乗せ台に乗せて1階から2階へ搬入するために縦幅88.5センチメートル,横幅1メートル28センチメートルの開口部が設けられている)ら1階に転落して負傷した事故が発生した。被害者が会社に対し、会社の安全配慮義務違反の債務不履行又は不法行為に基づき損害賠償を請求した事案である。
- 裁判所の判断
- 裁判所は、
① 被害者は、営業所2階の本件開口部付近に赴くことがあり得るというべきところ,本件事故当時の本件開口部付近の状況は、本件乗せ台を使用していないときにはこれを視認することができず,人がこれに気付かずに,段ボールに乗ってしまって落下する危険性が具体的に存すると認められることから、
② 営業所を設置・管理している会社側は,本件事故当時,
ア 本件開口部にクレーン非作動時に堅牢な蓋をする等の設備を施して人の落下を防ぐか,
イ 被害者に対し,本件開口部の存在及び本件開口部が段ボールで塞がれている状態であることを具体的に説明し,本件開口部から転落する危険から身を守る具体的指示を原告にすべき義務
を負っていにもかかわらず、いずれもなされていない点で安全配慮義務違反の過失が
あるとし、会社の賠償責任を認めた。
③ ただし、被害者側にも過失があり、過失相殺(2割)をしている。
事件番号・判例時報 |
平成12年(ワ)183
最高裁HP |
裁判年月日 |
平成13年12月3日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
福岡地裁 |
判示 |
一部容認
一部棄却 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
従業員 |
天候等の状況 |
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ID:306[mid:76]