事故事例の詳細
事故概要
保養所の一階にある食堂(以下「本件食堂」という。)内にいた子供が、食堂のガラス戸を通して庭に父親が立っているのを認め、ガラス戸が開放されているものと信じてガラス戸に向かって走りより、そのまま激突して死亡した。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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ガラス |
体を動かして静止部分にぶつかる |
ぶつかり |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
店舗・娯楽施設等 |
場所 |
その他室内 |
建築部位 |
柱・壁・間仕切り ドア・シャッター |
障害程度 |
死亡 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 建物所有者
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵なし
ア 主として、本件保養所の利用客に本件食堂からの景観を楽しんでもらうために設置されたものであつて、人が頻繁に出入する建物部分に常時開閉されるものとして設置されたものではないこと
イ その設置場所が食堂であることから、その近辺において児童や幼児が遊んだり、走り廻ったりするという事態も通常予測されるところではないこと
ウ 本件事故は、保養所の利用客の例に反して父親が本件食堂からその南側部分に在る庭に降り立ったことを誘因とし、かつ、被害者が本件食堂内を勢良く本件ガラス戸に向って走行したことを直接の原因とするもの、換言すれば、通常予測することができない要因が偶然に重なり合った結果起ったものであること
から、本件事故当時、事故の発生を防止するために、ガラス戸等にテープを貼り付けるなどして、人にガラスの存在を察知させる措置を講じていなかったとしても、ガラス戸等の設置又は保存に瑕疵はない。
判例の解説
- 事案の概要
- 保養所の一階にある食堂(以下「本件食堂」という。)内にいた子供が、食堂のガラス戸を通して庭に父親が立つているのを認め、ガラス戸が開放されているものと信じてガラス戸に向かって走りより、そのまま激突して死亡した。被害者遺族が、建物所有者に対し、工作物責任に基づき損害賠償を請求した事案である。
- 裁判所の判断
- 裁判所は、
① 工作物の「瑕疵」とは、工作物が通常有すべき安全性を欠いていることをいうが、「工作物の占有者又は所有者は、およそ想像しうるあらゆる危険の発生を防止しうベきことまで想定して危険防止の設備をする必要はなく、当該工作物の構造、用途、場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮したうえ、具体的に通常予想される危険の発生を防止するに足るもので必要かつ十分であると言うべきであり、利用者の通常の用法に即しない行動の結果生じた事故については占有者又は所有者としての責任を負うべき理由はない。」とした上で、
② 本件については、
ア 主として、本件保養所の利用客に本件食堂からの景観を楽しんでもらうために設置されたものであつて、人が頻繁に出入する建物部分に常時開閉されるものとして設置されたものではないこと
イ その設置場所が食堂であることから、その近辺において児童や幼児が遊んだり、走り廻ったりするという事態も通常予測されるところではないこと
ウ 本件事故は、保養所の利用客の例に反して父親が本件食堂からその南側部分に在る庭に降り立つたことを誘因とし、かつ、被害者が本件食堂内を勢良く本件ガラス戸に向つて走行したことを直接の原因とするもの、換言すれば、通常予測することができない要因が偶然に重なり合つた結果起つたものであること
から、本件事故当時、事故の発生を防止するために、ガラス戸等にテープを貼り付けるなどして、人にガラスの存在を察知させる措置を講じていなかつたとしても、ガラス戸等の設置又は保存に瑕疵があつたということはできないとした。
事件番号・判例時報 |
昭和57年(ワ)922
496号92頁
1096号95頁 |
裁判年月日 |
昭和57年12月27日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
東京地裁 |
判示 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
利用客 |
天候等の状況 |
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ID:190[mid:41]