事故事例の詳細
事故概要
店の食事室付近の従業員専用の通用口にある鉄製の防火用ドア付近を,本件ドアを閉めて清掃していた従業員の一人(足が少し不自由)が,他の従業員が食事室側から無理やりドアを押し開けて出たため,転倒し負傷した事故。事件の現場となった更衣室に入るための本件ドアのある場所(踊り場)は,大変狭く,鉄製ドアを開け閉めするための最低限のスペースしかなく,開けた時は人1人
が立つことができないくらいの広さ(約1平方メートル)しかなかった。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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開き戸 |
可動部分が体にぶつかる |
ぶつかり |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
店舗・娯楽施設等 |
場所 |
出入り口 |
建築部位 |
ドア・シャッター |
障害程度 |
重度のケガ |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 従業員
- 瑕疵・過失の有無
- 過失あり
被害者が掃除していた場所が,人1人がやっと立てるほどの狭い踊り場であり,踊り場と通路に上がる場所には階段1段ほどの段差があったため,容易に避けることはできなかったことなどは,当時勤務店の従業員である両人とも知っており,足の少し不自由な被害者が掃除をしているとき,食事室側からドアを無理に押し開けて出ようとすれば,押された被害者が,逃げ場がなく必然的にバランスを崩し,転倒することがあり得ることを容易に予見できたとした上で、加害者側にはその危険発生を回避すべき注意義務があったにもかかわらずその義務を怠った過失がある。
- 過失相殺
- 被害者が加害者の指導的立場にあったことなどに鑑み、被害者にも過失があるとして、過失相殺(1割)している。
判例の解説
- 事案の概要
- 店の食事室付近の従業員専用の通用口にある鉄製の防火用ドア付近を,本件ドアを閉めて清掃していた従業員の一人(足が少し不自由)が,他の従業員が食事室側から無理やりドアを押し開けて出たため,転倒し負傷した事故が発生した。被害者が、ドアを押し開けた従業員に対し、一般不法行為に基づく損害賠償を請求した事案である。
なお、事件の現場となった更衣室に入るための本件ドアのある場所(踊り場)は,大変狭く,鉄製ドアを開け閉めするための最低限のスペースしかなく,開けた時は人1人が立つことができないくらいの広さ(約1平方メートル)しかなかった。
- 裁判所の判断
- 裁判所は、
① 被害者が掃除していた場所が,人1人がやっと立てるほどの狭い踊り場であり,踊り場と通路に上がる場所には階段1段ほどの段差があったため,容易に避けることはできなかったことなどは,当時勤務店の従業員である両人とも知っており,足の少し不自由な被害者が掃除をしているとき,食事室側からドアを無理に押し開けて出ようとすれば,押された被害者が,逃げ場がなく必然的にバランスを崩し,転倒することがあり得ることを容易に予見できたとした上で、
② 加害者側にはその危険発生を回避すべき注意義務があったにもかかわらずその義務を怠った過失があるとして、損害賠償責任を認めた。
③ ただし、被害者が加害者の指導的立場にあったことなどに鑑み、被害者にも過失があるとして、過失相殺(1割)している。
事件番号・判例時報 |
平成16年(ハ)9528
最高裁HP |
裁判年月日 |
平成16年12月3日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
東京簡易裁 |
判示 |
一部認容
一部棄却 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
従業員 |
天候等の状況 |
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ID:316[mid:91]