事故事例の詳細
事故概要
台風のため屋根瓦が飛散し、隣家の敷地内に落下し、隣家の建物や車庫の外壁に当たって損傷。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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自重・外力による力 |
建物の一部が落ちる |
落下物にあたる |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
集合住宅の共有部等 |
場所 |
その他場所 |
建築部位 |
その他 |
障害程度 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 建物所有者・占有者
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵あり
建物の屋根瓦は風速未だ14.5メートルに達しない昼すぎ頃以降に飛散し始めており、かつ台風通過後の右建物の屋根の被害状況はその附近一帯の建物の屋根がそれに比べて比較的大きかった」との事実を認定した上で、その「建物の屋根には小穴をあけた硬い瓦を針金で屋根に固定するとか、屋根瓦を止め金で固定するとか、漆喰で固定するとか、瓦の固定について建物所有者の保護範囲に属する本来の備えが不十分であったと推認することができ、ひいては右屋根の設置又は保存に瑕疵がある。
- 損害賠償の範囲
- 「当該建物には予想される程度の強風が吹いても屋根瓦が飛散しないもよう土地工作物である建物所有者の保護範囲に属する本来の備えがあるべきであるから、その備えがないときには、台風という自然力が働いたからといって、当該建物に瑕疵ないし瑕疵と損害との間の因果関係を欠くものではない」
判例の解説
- 事案の概要
- 台風のため屋根瓦が飛散し、隣家の敷地内に落下し、隣家の建物や車庫の外壁に当たって損傷が生じた。これに対し、隣家所有者が、屋根瓦を飛散させた建物所有者に対し、屋根瓦を固定するなどして屋根瓦が風によって飛散させないようにすべき義務を怠り瑕疵が存在するとして、工作物責任を求めた事案である。
- 裁判所の判断
- ① 裁判所は、「台風のため屋根瓦が飛散し損害が生じた場合において、土地工作物に瑕疵がないというのは、一般に予想される程度までの強風に堪えられるものであることを意味」するとし、事故があった北九州を台風が襲う例は南九州ほど多くはないが、過去にもあり、「当該建物には予想される程度の強風が吹いても屋根瓦が飛散しないもよう土地工作物である建物所有者の保護範囲に属する本来の備えがあるべきであるから、その備えがないときには、台風という自然力が働いたからといって、当該建物に瑕疵ないし瑕疵と損害との間の因果関係を欠くものではない」とした。
② その上で、「建物の屋根瓦は風速未だ14.5メートルに達しない昼すぎ頃以降に飛散し始めており、かつ台風通過後の右建物の屋根の被害状況はその附近一帯の建物の屋根がそれに比べて比較的大きかった」との事実を認定した上で、その「建物の屋根には小穴をあけた硬い瓦を針金で屋根に固定するとか、屋根瓦を止め金で固定するとか、漆喰で固定するとか、瓦の固定について建物所有者の保護範囲に属する本来の備えが不十分であったと推認することができ、ひいては右屋根の設置又は保存に瑕疵があったというべきである。」として、工作物責任を認めた。
③ そして、実際の損害賠償額については、隣家所有者が損壊部分の補修に要した金額の3分の1を認めた(3分の1にした理由は判決上示されていない)。
- 本判決のポイント
- 自然災害と称されるものであっても、実際の事故のあった状況や付近の被害状況を下に、通常有すべき安全性が備わっていたかが判断されていることに注意が必要である。
事件番号・判例時報 |
昭和55年(ネ)155
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裁判年月日 |
昭和55年7月31日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
福岡高裁 |
判示 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
隣家所有者 |
天候等の状況 |
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ID:317[mid:97]