事故事例の詳細
事故概要
老朽化した建物の屋根が台風により破壊され、その破片の一部が近くに駐車中の自動車に当たって自動車が破損した。
この事故の事故パターン
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事故のきっかけ |
事故の過程 |
結果 |
詳細と留意点 |
1 |
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自重・外力による力 |
建物の一部が落ちる |
落下物にあたる |
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事故概要詳細
情報ソース |
裁判判例 |
建物用途 |
その他 |
場所 |
その他場所 |
建築部位 |
その他 |
障害程度 |
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判例の詳細
- 責任の所在
- 自動車所有者
- 瑕疵・過失の有無
- 瑕疵あり
本件建物が老朽化が進んで腐蝕が激しく、強風によって屋根や外壁の一部、付設の階段、煙突等が剥離落下し又は倒壊する危険に曝されていることなどから、「何時強風、突風で剥離、飛散、倒壊するかも知れない危険な状況に在ったこと」、過去にも強風などで壁面の一部が剥離、落下したり、崩壊したりした事実があることから、本件建物が「通常有すべき安全性を有していたとは到底認め難い。
判例の解説
- 事案の概要
- 老朽化した建物の屋根が台風により破壊され、その破片の一部が近くに駐車中の自動車に当たって自動車が破損した事故である。自動車所有者が建物所有者に対し工作物責任に基づく損害賠償請求をした。
- 裁判所の判断
- ① 裁判所は、本件建物が老朽化が進んで腐蝕が激しく、強風によって屋根や外壁の一部、付設の階段、煙突等が剥離落下し又は倒壊する危険に曝されていることなどから、「何時強風、突風で剥離、飛散、倒壊するかも知れない危険な状況に在ったこと」、過去にも強風などで壁面の一部が剥離、落下したり、崩壊したりした事実があることから、本件建物が「通常有すべき安全性を有していたとは到底認め難く、従って、また本件事故を専ら台風一三号という自然力のなせる業とし、これを不可抗力による事故と認めることもできない。」とした。
② また、建物所有者は、当該危険性に配慮して立入禁止の措置を講じていたことも主張していたが、裁判所は、その措置は不十分であるとした(ちなみに、被害車両は当該立入り禁止、駐車禁止の区域外であった)。
③ 以上から、裁判所は、建物所有者につき、建物の設置保存上の瑕疵があるとして工作物責任を認めた。ただし、被害車両所有者も、本件建物の危険性や台風被害につき予見できたとして、被害者側の過失を6割とする過失相殺をしている。
- 本判決のポイント
- 自然災害と称されるものであっても、老朽化した建物については瑕疵の存在が認められうる点に注意が必要である。ただし一方で、被害者側にも危険性を認識しうる事情がある場合には、過失相殺がなされる点が参考になる。
事件番号・判例時報 |
昭和61年(ワ)181
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裁判年月日 |
平成元年6月29日 |
事件名 |
損害賠償請求事件 |
裁判所名・部 |
福岡地裁久留米支部 |
判示 |
一部棄却 |
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原審事件番号 |
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原審裁判所名 |
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原審結果 |
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被害者 |
自動車所有者 |
天候等の状況 |
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ID:318[mid:98]